首里織【しゅりおり】と芭蕉布【ばしょうふ】
首里織【しゅりおり】
沖縄が昔琉球王国であった時代の王府・首里で織られ、上流階級の衣料として発展してきた織物の総称です。中国や東南アジアの影響を受け、洗練された意匠と多彩な技法をもつことが特徴です。紋織や絣があり、首里花織、首里道屯織、首里花倉織などが代表的になっています。きものや帯として作られているものは、絹糸で織られた花織がほとんどで、光沢や洗練された雰囲気が特徴的です。
芭蕉布【ばしょうふ】
沖縄に産する糸芭蕉の繊維から採った糸で織った布で、布地は軽く張りがあり、通気性がよいので、夏のきものに最適の織物です。沖縄のなかでいちばん古い織物とされ、かつては沖縄全土で生産されていましたが、近年は少なくなってしまいました。わずかに沖縄本島の大宜味村の喜奴嘉を中心に織り継がれており、「喜奴嘉の芭蕉布」は国の重要無形文化財に指定されました。
約三年かけて成長した糸芭蕉の茎から繊維を取り出し、結びつなげて糸を績みますが、一反を織るのに二百本の糸芭蕉が必要になります。染料には藍色に染まる琉球藍や、茶褐色に染まる車輪梅という植物染料が用いられています。